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2009年 08月 30日

⇒企画・個展) 宮の森 「森山大道・写真展 ~北海道序章~」 6月26日(金)~8月30日(日)

⇒企画・個展) 宮の森 「森山大道・写真展 ~北海道序章~」 6月26日(金)~8月30日(日)_f0142432_9405757.jpg

○ 森山大道・写真展 
    ~北海道序章~


 会場:札幌宮の森美術館
    中央区宮の森2条11丁目2-1
    電話(011)612-3562

 会期:2009年6月26日(金)~8月30日(日)
 休館:月曜日(祝日の場合は翌日)
 時間:11::00~19:00
 料金:一般500円、高大生400円、中学生以下無料

 主催:当館

ーーーーーーーーーーーーーーーーー(6・9)

  ・1938年(昭和13) 大阪府池田町(現池田市)に生まれる。本名大道(ひろみち)。
  ・1963年(昭和38) フリーの写真家として独立。
  ・1968年(昭和43) 初期代表作「にっぽん劇場写真帖」出版。
  ・1972年(昭和47) 写真とは何かをラディカルに追求した問題作「写真よ作用なら」出版。
  ・1978年(昭和53)・夏 三ヶ月、札幌に滞在。

 
⇒企画・個展) 宮の森 「森山大道・写真展 ~北海道序章~」 6月26日(金)~8月30日(日)_f0142432_9421269.jpg

 今展の作品は、上記の札幌滞在中に雨降り以外はカメラを持ち、バスに乗り列車に乗り、北海道のあちこちを写し撮ったものです。
 何枚撮ったかは不明ですが、新たに2,000点をプリントし、道内5ヶ所においてそれぞれの地域やコンセプトに沿って構成された展覧会です。その第一弾です。



 以下、開催予定表です。

  ・札幌宮の森美術館   6月26日(金)~8月30日(日)
  ・夕張市美術館      7月11日(土)~8月23日(日)
  ・アルテビアッツァ     7月29日(水)~9月28日(月)  美唄市落合町
  ・札幌パルコ        9月12日(金)~9月28日(月)
  ・東川町文化ギャラリー 2月19日(金)~3月29日(日)  上川郡東川町東町1丁目

 素晴らしい連続展覧会です。単なる巡回展ではありません。写真家・森山大道が特定の場を見つめた痕跡を追体験できる展覧会です。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~

 僕は森山大道の事はほとんど知らない。
 パンフによると、前衛的な写真家としての名声を築きつつあった時期の’70年代中後期に、スランプに陥ったとのことだ。40歳以前のことだ。何故北海道を選んだかは知らない。心身のざわめきを抱きながらひたすら「風景」をとりまくった。しかも、多くは未発表だ。それらは見せられる事を意識しての作品でも撮影行為でもないようだ。だから、もし森山大道が60歳でこの世をグッバイしていたならば、こういう形での展覧会は実現しなかった。少なくともこんな大規模な自選展にはならなかった。

 それでは何故、彼はこういう企画を思い立ったのだろう?「今」が問われなければならない。作家の公式な言葉はひとまずおこう。
 彼は現在北海道教育大学特任教授を務める。北海道とは現在進行形で縁浅からぬ関係ということもあろう。だがそれは今展の仕事のキッカケにはなっても、それ以上ではないだろう。
 ’70年代道内の実写記録としての写真を、様変わりした現代の風景と重ね合わせて見せる。このことは間違いない。写真の記録性は時が経つほど重要になる。だが、表現者である横山大道にとってはこのことは写真の効果であってもメインではないだろう。
 苦しき思いで撮った写真の多くは作家自身によって封印されていた。今展に会わせるかのように、500点ほどの写真集「北海道」も出版された。確か2万円位だ、高価本だ。しかも、今回の一連の展覧会は「序章」であり、来年と続き、再来年が「最終章」でもある。

 自作が「もったいない」と気が付いての連続展だろうか?大家の行う「回顧展」なのだろうか?
 これらは日記のような私的なものだった。見せるための作品ではなかった。人間・森山大道が40歳を迎える人生の危機の産物であった。
 過ぎ去って30年、功なり名を遂げていまは悠々自適なのだろうか?「北海道は<我が愛>」と言い切って事足りるのだろうか?
 70歳を過ぎた写真家だ。もしかしたら老齢期を生きる表現者の内的危機があるのかもしれない?過去の危機の記録・残骸を見ることによって、今の危機と相向かい合っているのかもしれない。落ちる内的エネルギーを奮い立たせているのかもしれない。

 もしそうならば、見る人も見るエネルギーを発して彼に提供しようではないか。
 そして、「この作品は素晴らしい。だが、北海道の変貌は著しい。人も風土も変わった。横山大道の『今の目』で、『シャッターを押す今の指先』で切り取って欲しい。それを見たい」、声を高らかにして写真家に言おうではないか。
 彼にしか見えない「道内の今の風景」があるはずだ。

by eitu | 2009-08-30 08:03 | ☆ 宮の森美術館


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