○ AF2009:紙の世界ー02
『カニヴェ、天使とレース(17~19世紀』
会場:札幌アリアンス・フランセーズ
中央区南2条西5丁目・南2西5ビル2F
(入口は西向き。エレベーターでのみ2階へ。)
電話(011)261-2771
会期:2009年2月17日(水)~3月14日(土)
休み:日曜日・祝日(定休日)
時間:10:00~19:00
(土曜日は、~18:00まで)
ーーーーーーーーーーーーーーー(3・4)
「日本では非常に珍しく、なじみのないカニヴェと呼ばれる宗教画の展覧会」 (DMより。)
既に見てきました。
会場に居たー(というよりもそこは図書室の壁面を利用した展覧会場なので、図書室に居た青年と言うべきです)ーフランス青年と話し込んだので、写真を撮るのを忘れてしまった。
話しのキッカケはこうです。
展示作品はカニヴェと呼ばれ、冠婚などの人生の筋目・通過儀礼の贈り物として利用される宗教画なのです。
その青年に、「頂いたことはありますか?」と話しかけた。
「いえ、ありません」
「そうなんですか。・・・教会でこういう物をもらったりすることはないのですか?」
「僕は教会に行ったことは無いのです」
「エッ!」
「フランスでは公教育の場ではキリスト教を扱ってはいけないのです。法律で決められています。私学校は別です。聖書の内容は映画などで知っていますが、ちゃんと読んだことはありません」
「クリスチャンではないのですか?」
「両親も僕と同じで違います。おばあちゃんは信じています」
「結婚式は教会でしないのですか?」
「フランスでは結婚をしない若者が増えています。それに、教会で式を開かなくても結婚はできます」
カニヴェに縁の無い青年ということはわかった。それよりも、フランスというかヨーロッパという僕自身のイメージの危うさに愕然としてしまった。
さらに、優しく能弁なフランス青年のしっかりした受け答えに我が身を恥じる思いだった。いきずりの会話だからそれなりで終わるのは仕方が無い。だが、その青年の文化にたいするきちんとした発言は見事である。彼と交流したいと思うのは僕の方だ。日仏文化を比較しながら語るのではなく、僕自身の文化・文明観をしっかり言えるようにならなければならない。自戒。
カニヴェは紙をナイフで切って装飾を施すものです。真ん中に写真や切手など宗教に関わるものがはめ込まれていて、廻りをナイフやカッターで模様を付けていくのです。
その青年が、「包丁をつかうのです」と発言。
「『包丁』では違和感があるので『ナイフ』ですね」
「ナイフは外国語だからいけない」
「でも、『包丁』は料理に使う言葉だからおかしい」
「日本語で何か良い言葉はないですか?」
「『小刀』では?」
彼は『小刀』が『剣』をイメージするとみえて納得しがたそうな表情だった。
最後に、酒の会話。
「ニッポンシュは好きです」
「ニホンシュと普通は言いますよ」
「う~ん。・・・。ニッポンシュの方が元気があって良いじゃないですか。ニッポンシュ、ブランドにしましょう!」
アクションを交えて、力強く「ニッポンシュ」と言う。気合いが入っていた。
今までの理知的な表情とは違った青年らしい顔になっていた。少し赤らんでいた。ほんとにハンサム・ボーイだ。